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2005年3月17日

クリニックにて

 2005年の最初の院長だよりです。
 今年初めはノロウイルスなどによると考えられる急性ウイルス性胃腸炎の患者さんたちが昨年末から続いて1月中もよく来院されていました。その頃は全くはやっていなかったインフルエンザが2月になってはやりだし、ほとんどB型インフルエンザでしたが、もう大体流行が治まったようです。私やスタッフは全員インフルエンザワクチンを注射していましたが、患者さんたちでもそうですが、一部の方はワクチンを打っていても罹患されています。しかし、発病2日以内なら、特効薬があるので助かっています。昨年はこの特効薬が底をついた時期もありましたが、今年はそれほどではないようです。ただ、診断の試薬のキットが当院でも初めに仕入れた分がなくなって、追加注文したら、需要急増のためか、同じものは在庫がないために違う方式のものを急遽入手してしのぎました。
 ウイルス関連の話題が続きますが、昨年末に発売されたC型肝炎ウイルスに対するペグイントロンという一週間に一回打つだけでいいインターフェロン製剤を当院でも注射開始しています。これまでもペガシスという週に一回単独で用いるインターフェロン製剤がありました。このペグイントロンというインターフェロン製剤はリバビリン(商品名;レベトール)という内服薬との併用で使う製剤です。最初の2回の注射は、初期の副作用チェックなどのために、入院で受けて頂いています。病院に紹介して2回分注射を受けられた患者さんたちには退院後に当院の外来にもどってきてもらって、外来で注射続行することになります。既にこの方式で、4名の患者さんに対して注射を継続中です。従来の週に3回通院して打たなければならなかったインターフェロン製剤に比べて、通院回数も少なくていいこと、副作用が軽減傾向であること、効果は従来の方法よりも改善されている(高ウイルス量でも二人に一人は著効する)ことが証明されていて、今年はこの治療を受ける方が多くなるでしょう。C型肝炎ウイルスの中で、group1でウイルス量が多い方に対象が限定されていますが、今年の内にも適応拡大されるだろうという話を聞いています。

 今年に入ってからの学会や研修会・講演会への参加状況を以下に記します。
1月20日(木) 「炎症性腸疾患の病態と治療」(日本医師会生涯教育講座) 大阪府医師会館
 1.炎症性腸疾患の病態・・・最近の進歩  大阪大学大学院医学系研究科 辻井 正彦
 2.炎症性腸疾患の治療・・・最近の進歩  九州大学大学院医学研究院教授 飯田三雄

 この疾患(主な疾患である潰瘍性大腸炎とクローン病)の分子レベルや遺伝子レベルでの病態研究が進歩し、それと併行して治療も進歩しつつある現状を分かりやすく解説されていました。

1月22日(土) 第5回クローン病トータルケア推進協議会 総会 オーバルホール(梅田)

 炎症性腸疾患(IBD)の栄養療法について検討することが主目的の会で、多数の栄養士さんたちが参加している会です。私は今回が2回目の参加でした.大阪労災病院外科の根津先生が司会したり、大阪府立急性期・総合医療センター神経内科の狭間先生が主宰者の一人で挨拶したり、伊丹近畿中央病院消化器内科の林先生と近い席に座って話をする機会があり、大阪大学医学部53年卒の同級生数人と顔を合わせることができました。

1月25日(火) 堺市医師会内科例会
 慢性呼吸器疾患の診断と治療(最近の話題) 慢性気管支炎、気管支喘息を中心として
         独立行政法人国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター 第二呼吸器科 小河原 光正

 吸入療法や治療ガイドラインについての説明を伺いました。当院では喘息の方はそれほど多くはありませんが、吸入療法の進歩は私も実感しています。

1月27日(木)は市立堺病院で症例検討会(堺病院CPC)があったのですが、他に用事ができて参加できませんでした。
 木曜や土曜の会は私たち開業医が参加し易い時間帯で、また、それ以外の曜日の会でも、堺市医師会が主催の会は、昼の休憩時間(午前診察と午後診察の間の時間)に企画されているため、比較的堺市医師会館に近い当院としてはまだ参加しやすいのですが、府の医師会館で木曜日や土曜日以外の昼にある会に参加する時はかなり慌ただしいことになります。昼飯抜きで駆けつけることもあります。

2月12日(土)大阪大学53年卒同窓生の開業医が加入している阪医53会の集まりがあり、奈良に向かいました。同級生の一人で、愛媛大の医療情報部教授の石原謙先生が、日本医師会総合政策研究機構(日医総研)の研究部長でもあるのですが、この日、奈良市医師会館で講演をし、その後、上記の53会の集まりもありました。電子カルテ紹介の会でもありましたが、医師が医療情報をもとにして、如何にして現在の混迷を極める医療事情の中で、医療改革のために闘うのかというお話をされました。欧米の医療事情が決して手放しで優れたものと評価できない現状を解説され、日本では、現在の国民あるいは社会保険制度のもとで誰もが欧米に比しかなり安い医療費で受診できていること、一方で日本の医療スタッフが厳しい労働条件の中で世界に冠たる平均寿命や新生児低死亡率などを実現できている実態をもっと評価されるべきであることを強調されました。現在の日本の医療(あるいは公的保険制度)が、先日の混合診療解禁などの動きにもみられたように、経済効率優先の企業の側から侵されそうになっていて、それが医療事情を改善させるどころか、改悪に向かう危険が大きいことについて、もっと多くの医師や一般の人々が知るべきであることも強調されました。奈良県在住で同窓生の喜多野先生が企画された二次会でも話が盛り上がりました。

2月13日(日) 日本内科学会生涯教育講演会Aセッション 大阪国際会議場(中之島)
【消化器】
 1.ヘリコバクターと胃がん
 2.内科医からみた肝移植の適応と評価
 3.炎症性腸疾患Update
【内分泌・代謝】
 4.劇症1型糖尿病
 5.内分泌性高血圧と電解質異常
【神経】
 6.片頭痛の診断と治療
 7.腰痛の診断と治療
【アレルギー・膠原病】
 8.関節リウマチ治療の新展開
 9.繊維筋痛症:概念と治療

 個々についてのコメントは省略しますが、この日、久しぶりに市立堺病院内科の金万(こんま)先生(診療局長)にお目にかかることができました。

2月19日(土)第19回南大阪臨床研究会 スイスホテル南海大阪
 CPC症例検討  上腸管膜血栓症などを発症して死亡した症例
  特別講演 「メタボリックシンドローム時代の治療ストラテジー」
   大阪大学医学部大学院医学研究科分子制御内科学講師 船橋 徹

 CPCの司会は大阪労災病院外科の根津先生、症例提示は市立堺病院外科の藤島 成先生でした。この症例に関連して、メタボリックシンドロームについて船橋先生の講演があった訳です。講演の司会は市立堺病院院長の古河先生でした。脂肪細胞から産生されるアディポネクチンという特殊な物質に関連する様々な知見が解説され大変ためになりました。高血圧、糖尿病、高脂血症といった疾患群が動脈硬化を生じるだけでなく、血栓を形成しやすくなったり、悪性腫瘍も生じやすくなるなど興味の尽きない話題が提供されました。

2月22日(火)堺市医師会内科医会学術講演会
 「脳卒中の一次予防、二次予防に関する最近の話題」
   星ヶ丘厚生年金病院 副院長 福永隆三
 脳卒中の背景として大切な高血圧の管理について話された後、経験された脳卒中の実際例を解説されました。彼も阪大の同期で、以前は大阪労災病院にもいて、南大阪53会としても時々集まって話をしていました。

2月24日(木)保険医協会内科部会 薬業年金会館
 「糖尿病 最新の治療戦略」
   大阪警察病院 内科統括部長 小杉圭右
 糖尿病薬の実際的な有効な使い方について分かりやすく説明されました。メタボリックシンドロームの講演を聞いていて下地ができていたこともありましたが、日常の臨床に役立つ話でした。福永先生と同じく、彼も阪大53卒です。

2月26日(土)日本消化器病学会近畿支部 第82回例会
      同 第17回教育講演会  京都テルサ
教育講演1 「酸化ストレスは消化器疾患にどのように関わっているのか」
    吉川 敏一 京都府立医科大学生体機能制御学
教育講演2 「消化管疾患と遺伝子異常」
    千葉 勉  京都大学消化器内科
教育講演3 「肝細胞癌の診断と治療;最近の進歩」
    工藤 正俊  近畿大学消化器内科
教育講演4 「膵癌の発生経路と新しい治療への展望」
    高折 恭一  大阪医科大学一般・消化器外科
教育講演5 「消化器病診療における社会的ピットホール」
    塚田 敬義 岐阜大学医学系倫理・社会医学
教育講演6 「消化器領域における再生医療のup date」
    日裏 彰人 京都大学再生医科学研究所
 小雪のちらつくJR京都駅から歩いて10分ほどの会場に午前の診療を終えて大阪から駆けつけて、何とか教育講演2の途中に間に合いました。
 面識があってお話したことがあるのは、工藤先生だけでしたが、それぞれ異なる領域の話で、最新の話であるだけに、興味深く聞かせてもらいました。京都大学医学部移植外科は生体部分肝移植を国内で最も多く手がけている科で、私が診ていた患者さんたちが4名お世話になり、3名は今も元気にされています。先日は世界初の生体部分膵移植も行われ、注目を浴びています。教育講演6でも話されていましたが、山口大で試みられている肝硬変に対する肝細胞移植なども夢ではなくなりつつあるようです。
 
 1月から2月にかけてのその他の外出状況ですが、
1月1日元旦は明石の両親宅へ
1月3日は医師会の泉北急病診療センターに日直当番で出向。
1月10日は御年82歳の世界的に有名なジャズハーモニカプレイヤーである
トゥーツシールマンスの演奏を、新しくなった大阪ブルーノートで聴きました。
ルイアームストロングとも共演されたようで、その時のこともしゃべっておられました。

1月15日(土)は大阪生まれの建築家で東大名誉教授の安藤忠雄氏の講演会「夢は自分の手で作る」(大阪府医師会館)を聞かせてもらいました。

1月29日(土)午前の診察を終えて、急いで名古屋へ。日本が誇るジャズベーシストの鈴木 勲氏(70歳)と彼が率いる若いジャズプレーヤーのOMAsoundの演奏を名古屋のjazz inn lovelyに聴きに行きました。彼は以前よく大阪ミナミのlive house” Loft 6”に来られて演奏されていたので、その時からお付き合いさせて頂いています。市川秀男というジャズピアニストも彼から紹介され、今も東京への学会出張の際には時々演奏を聴かせてもらっています。
1月30日(日)は、名古屋城と市内の「ランの館」を巡り、2万5千歩ほど歩きました。
ランは愛知県が日本国内で最も多数出荷しているそうです。写真も撮りました。
2月3日(木)阪急インターナショナルホテルのそばの、シアタードラマシティーで「なにわバタフライ」という三谷幸喜作の、戸田恵子出演の一人芝居を見に行きました。彼の作品は以前「オケピ」という劇を同じ劇場で見ました。今回もユニークな作品で、大阪が産んだ名コメディアンの都蝶々の一代記を描いたものです。
2月11日(金)祝日で、前回紹介した和泉市の松尾寺まで娘と歩いてきました。
2月20日(日)NHK大阪ホールで、GONTITI冬のツアーの演奏を聴いてきました。今回もゴンザレス三上の変わったトークを聞くことができました。
  名古屋城天守閣
ランの館
 他に読書のことなども書いてみたいのですが、あまりにも長くなりましたので、これで今回のお便りを終わりにします。
 これから花粉症の季節で、患者さんは大変だと思いますが、いい薬ができていますので以前にくらべて過ごしやすくなってきています。
最後になりましたが、クリニックでの私の写真を今回初公開させて頂きます。
それでは、皆様お体大切に、ご自愛下さい。
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